舶用機器等の製造事業場、改造修理事業場及び 整備事業場(内燃機関に限る。)については、法令に定められた施設及び設備を有し、かつ、品質管理、自主検査の組織、人員等が充実している優秀な事業場を国土交通大臣が「認定事業場」として認定しています。当該認定事業場において製造、改造修理又は整備される舶用機器等に係る工事等については、国の検査が省略され、当該事業場の自主検査に任されています。
これらの認定事業場は、国の安全検査の一部を 代行するという重大な責務を担っており、常に法定要件を満足する品質管理体制を維持するとともに、経済環境の変動、技術革新の進展等に適正、かつ円滑に対応できるよう努める責務が課せられています。
本会では、これらの事業場を対象として次の諸事業を実施しています。[1] 調査指導事業
船舶検査について豊富な経験のある本会指導技師が国土交通省海事局及び事業場の所轄運輸局と連携して、次の指導を行っています。
(1) 新規指導
新しく認定を受けようとする事業場が法定要件の全般に亘って、基準に適合しているか、どのよ うな改善が必要か等について、申請から認定取得まで適宜指導しています。
(2) 継続調査指導
定期的に認定事業場における法定要件の維持、品質管理等の状況について調査し、事業場の実態を把握して会員の要請に応じ、適宜指導しています。
[2] 講習・研修事業
(1) 製造事業場関係講習会・研修会
舶用機器等の製造事業場における製造工事管理者の育成、指導のため、必要な法令知識、工事管理及び品質管理に関する手法等について講習会を開催しています。この講習会を修了し、所定の試験に合格した受講者に対して「舶用機器製造工事 管理者」の資格を付与しています。(累計1080名)また、既に資格を有し、現在実務についている製造 工事管理者を対象に技量の維持、向上のため、研修会を開催しています。研修会においては、実務間題及び法令改正 事項の解説等の補完教育を実施しています。
(2) 改造修理・整備事業場関係講習会・研修会
舶用機器改造修理事業場及び整備事業場におけ る修繕工事管理者の育成、指導のため、必要な法令知識、作業管理及び品質管理に関する手法等について講習会を開催しています。 この講習会を修了し、所定の試験に合格した受講者に対して「舶用機器修繕工事管理者」の資格 を付与しています。(累計805名)
また、既に資格を有し、現在実務についている修繕工事管理者を対象に、技量の維持、向上のため、製造工事管理者と同様、研修会を開催し、所定の補完教育を実施しています。[3] 品質管理調査研究事業
舶用機器等の製造工事等に関する品質管理、検査技術の向上及び検査の合理化に資するため、認定事業場における品質管理と自主検査に関する諸問題について調査研究を行っています。
法定船用品の多くは、国土交通大臣からその製造す る船用品について型式承認を受けた法定船用品製造事業場において製造されます。
法定船用品を、はじめて船舶にとう載するときには、所定の検査を受けなければならないことと されていますが、国土交通大臣から型式承認を受け、これに基づき製造された船用品については、検査が簡易化されます。
この制度によれば、船用品の使用者にとっては、予め法定の品質が保証される利点があり、一方、 製造者にとっても、国が承認した船用品の製造事業場として社会的信用が与えられることになります。この信用に応えるためには、これらの事業場は、常に技術の進歩に応じた船用品の品質・性能の改善、向上に努める責務が課せられています。
本会は、これらの事業場を対象として次の事業を実施しています。[1] 法定船用品調査研究事業
(1) 船用品の品質の改善、向上に関する調査研究事業
法定船用品は、所定の基準に適合する性能を保持するものでなければなりません。このため、経年劣化及び耐久性にも配慮した品質の改善、向上を図る必要があります。また、船用品の安全性に対する国際的な動向や社会的ニーズに沿った新たな船用品について、評価方法等を確立し、関係基準の見直しに反映させる等各種の調査研究を行っています。
(2) 国際化対応調査研究
IMO(国際海事機関)による、海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)及び海洋汚染防止関係の条約等、法定船用品に関連する国際条約が改正されたときには、これらに関する情報の収集、周知・広報に努めるとともに、船用品に係る問題点を整理し、その改善、品質管理のあり方について調査研究を行っています。
また、我が国に流入する外国製船用品の品質管理に関する調査研究を行い、わが国法定船用品の品質管理に関する指針の基礎資料の作成に役立てています。(3) 型式承認調査研究
法定船用品の型式承認に係る制度の概要、基準等について調査研究を行い、作成した資料を関係先に適宜提言するとともに、会員に配布、周知しています。また、船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の規定に基づき国土交通大臣から型式承認を受けた船用品について、その主要な仕様、製造者等をとりまとめた「国土交通省型式承認物件一覧表」を作成し、会員及び関係者に配布しています。
これらは、英文併記され、海外の政府、民間あて配布し、会員の海外活動の一助にしています。[2] 品質管理調査研究事業
法定船用品製造事業場における船用品の取り扱いに関する諸問題について調査研究を行っています。特に、型式承認を取得した量産品の品質管理や自主検査に関する調査研究を行っています。
[3] 船用品の技術開発事業
船舶用の救命設備、消防設備、ビルジ処理装置等の船用品は、船舶の安全確保及び海洋環境保全上、必要不可欠な設備です。従って、国際条約や国内法令で定められた基準を満足する高性能の船用品の技術開発は、船舶所有者、船員、造船所等から強く要請があるところです。
当会は、この要請に応えるために、日本財団の助成を得て、関係事業者と共同して船用品の技術開発事業を実施しています。また、この技術開発によって、我が国の船用品メーカーの国際競争力強化も期待されています。
これまで、以下の技術開発を実施しています。1.個人用捜索救助用ビーコン(PLB)の技術開発 平成23年度~平成24年度
2.昼間信号灯(携帯式)のLED課に関する技術開発 平成23年度
3.マイクロフォグ(微細噴霧化)スプリンクラヘッドの開発 平成24年度
4.自由降下式救命艇で負傷者を安全に脱出させるための方法の開発 平成24年度主な法定船用品・型式承認物件
(1) 船舶安全法関係の船用品
航海設備船灯、形象物、国際信号旗、信号灯、汽笛、号鐘、コンパス、航海用レーダー 救命設備救命艇、救命いかだ、救命浮器、救命浮環、救命胴衣、シューター 消防設備自動スプリンクラ装備、消火器、消防用装具類 GMDSS救命設備極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、双方向無線電話装置、レーダートラ ンスポンダー その他の設備シーアンカー、荷役ホース、作業用救命衣、完全保護衣
(2) 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律関係の船用品
海洋汚染防止設備油水分離器、ビルジ用濃度監視装置、ふん尿等浄化装置、船舶発生油等焼却設備 海洋汚染防除資材オイルフェンス、油処理剤、油吸着材
法定船用品整備事業場については、法定船用品等で定期的な保守点検が要求される物件の整備に関し、法令に定められた施設及び設備を有し、かつ、整備に関する人員等が充実している事業場を 国土交通大臣(職権委任により地方運輸局長)が「認定事業場」として認定しています。当該事業場に おいて整備された物件については、国の検査が省略され、当該事業場の自主検査に任されています。
この制度は、船用品の品質・性能を担保するための整備技術と整備に係る書類・物品等の適切な管理能力が前提となっています。
整備認定事業場は、整備に関し国の検査を代行するという重大な責務を担っており、常に法定要件を満足する管理体制の維持と整備技術の向上に努める責務が課せ られています。
本会では、これらの事業場を対象として次の諸事業を実施しています。[1] 調査指導事業
船舶検査について豊富な経験を有する本会の指導技師が国土交通省海事局及び事業場の所轄運輸局と連携して関係事業場において、次の指導を行っています。
(1) 新規指導
新しく事業場の認定を受けようとする事業場が法定要件の全般に亘って基準に適合しているか、どのような改善が必要か等について、申請から認定取得まで適宜指導しています。
(2) 巡回調査指導
定期的に事業場における法定要件の維持等状況 について調査指導をするとともに、整備技術者に対する指導を行っています。
[2] 講習・研修事業
(1) 膨脹式救命いかだ整備技術講習会・研修会
膨張式救命いかだ整備技術者の育成のため、国の安全検査と同水準の検査を行うために必要な法令知識、整備技術、作業管理等について講習会を開催しています。
この講習会を修了し、所定の試験に合格した受講者に対して「膨脹式救命いかだ整備技術者」の資格を付与しています。(現在390名)
また、現に資格を有し、実務についている膨脹式救命いかだ整備技術者を対称に技量の維持、向上のため研修会を開催しています。研修会においては、法令事項及び整備技術の解説等の補完教育を実施しています。(2) 降下式乗込装置整備技術講習会・研修会
降下式乗込装置整備技術者の育成のため、上記(1)同様、講習会を開催しています。
この講習会を修了し、所定の試験に合格した受講者に対して「降下式乗込装置整備技術者」の資格を付与しています。(現在131名)また、現に資格を有し、実務についている降下式乗込装置整備技術者を対象に研修会を開催しています。(3) GMDSS救命設備整備技術講習会・研修会
GMDSS救命設備整備技術者の育成のため、別途開催する無線工学の基礎講習会の合格者を対象に上記(1)同様、講習会を開催しています。
この講習会を修了し、所定の試験に合格した受講者に対して「GMDSS救命設備整備技術者」の資格を付与しています。(現在281名)また、現に資格を有し,実務についているGMDSS救命設備整備技術者を対象に研修会を開催しています。(4) 救命艇装置整備技術講習会・研修会
救命艇装置(救命艇及び進水装置)の点検、整備を行う国内外の整備技術者の育成、指導のため必要な法令知識、救命艇の構造及び保守点検要領等並びに実技ついて講習会を開催しています。
この講習会を修了し、所定の試験に合格した受講者に対して「救命艇装置整備技術者」の資格を付与しています。
(現在48名)なお、これら資格者を対象に技量の維持、向上のための研修会を開催することとしています。(5) イマーション・スーツ整備技術講習会・研修会
イマーション・スーツの点検、整備を行う整備技術者の育成、指導のため上記(4)同様、講習会を開催しています。
この講習会を修了し、資格が認定された受講者に対して、「イマーション・スーツ整備技術者」の資格を付与しています。(現在68名)なお、これら資格者を対象に研修会を開催することとしています。[3] 整備情報集中管理事業
膨脹式救命いかだ及びGMDSS救命設備の整備に関して「整備管理システム」を構築し、年間3万件に及ぶ情報を本会のホストコンピューターにより集中管理し、整備作業の利便に供するとともに、これらに関する統計資料、製品の改善等に活用しています。
[4] 整備技術調査研究事業
船用品の性能、品質の改善、向上に資するとともに、事業場の要望に応え、整備技術の向上のため適宜テーマを定め、各種の調査研究を行っています。
[1] 船舶検査関係法令に係る調査研究及び情報提供事業
(1) ホームページ及び定期刊行物による情報提供
船舶検査制度は、年々国際化、多様化が進んでいますが、本会では、船舶検査制度に関する国内外の諸法令・制度の内容、適用関係等について、調査研究を行っています。
その一環で本会が国土交通省、検査関係機関、造船関連団体及び諸外国の関係機関から入手した各種の情報及び資料等について、当会のホームページ及び定期刊行物(品管時報)等を介して会員にお知らせしています。(2) 関係法令の改正に伴う説明会等の開催
関係法令の改正があったときは、必要の応じ会員その他関係者に対して説明会、講演会を開催しています。
(3) 調査研究の成果公表及び提言
船用品等の性能等について調査研究を行ったときには、その成果を公表し、かつ、関係先に対して提言を行い、基準の作成、見直しに役立てています。
[2] 各種相談事業
(1) 貸付けに関する相談・支援
日本財団ではモーターボート競走の収益金によ り、国土交通省の施策に沿って設備の近代化、合理化に必要な「設備資金」、経営基盤の安定化に必要 な「運転資金」等を低利、長期償還という有利な条件で貸付けする制度を設けていますが、本会では会員に対して、これら借入申請を行うために必要な申請手続等に関する相談・指導と申請に必要 な「団体加入証明書」の交付等の支援を行っています。
(2) その他の相談事業
船舶安全法に基づく事業場の認定、型式承認に関する事項等について、相談を受付け、適宜指導を行っています。
また、ISO9001及び14001の認証取得に関する指導等を行っています。[3] 表彰事業
本会の事業に関連のある業務に関して顕著な功績をあげ、他の模範となる業績をあげた会員会社の社員に対し、本会が表彰しています。
また、本会では、叙勲及び褒章をはじめ国土交通大臣及び地方運輸局長表彰並びに各団体の表彰に関して、これに該当する会員会社の役員、社員等を推薦しています。[4] 団体PL保険に関する事業
本会では、製造物責任法(PL法)の施行に伴い、保険会社と提携して本会独自の「団体PL保険制度」を設け、会員に対してこれを周知するとともに、保険の付保等を支援しています。
製品安全評価センターは、国土交通省の行政目的に沿って、また、本会会員の必要とする技術開発等に資することを目的として設立された機関であり、次の[1]~[4]の事業を実施しています。
本センターは、平成15年11月26日(材)日本適合性認定協会(JAB)よりISO/IEC17025に基づくFTPコード(火災試験方法コード)に係る試験所として認定され、さらに、平成15年12月22日国土交通省海事局よりFTPコードに係る試験機関として認定されています。[1]依頼試験
船用品、艤装品等について、本会会員その他の依頼に応じて試験を行い、試験成績書を発行しています。試験は、船舶安全法、各船級協会等諸規則等依頼者の試験仕様に基づいて行われますが、発行する試験成績書は、第三者機関としての証明能力を有します。
[2]施設貸与、技術指導
本センターの各種試験施設、機器を希望者に貸与しています。この際、試験施設、機器の活用方法の指導、情報の提供等も行っています。
[3]開発研究
船用品、艤装品等の試験を通じて本センターに蓄積された技術カと秀れた試験施設、機器を活用して時代の要請に応える新たな船用品、艤装品等の開発研究とその基準づくりに貢献しています。